長倉洋海写真展に行ってきました。



場所はいわさきちひろ美術館で、建物の作りが変わっていて
ちと迷いました(笑)。


http://www.chihiro.jp/tokyo/index.htm


「展示室2」の左半分に、最新刊のオリジナルプリントが、
「多目的展示ホール」にこれまでの写真がありました。


「多目的展示ホール」はなんと五角形!
http://www.chihiro.jp/tokyo/t_hall.htm
北側のガラス面のとこに大判のパネル、南側の壁のところに
大小のパネルで展示され、中央にピラミッドみたいな形で
パネルが置かれ…と
ホールの特徴を生かした展示になっていました。


作品の第一印象は「強い写真だな」。
あと「色がすっごくきれい」
アフガニスタンコソボエルサルバドルと紛争地帯や
少数民族先住民族(ブラジル・フィリピンなど)を扱ったものが多い。


あきらかに、日本とは空気や日差しの強さが違います。
アフガニスタンはやはり湿気が少ないように見えました。


日本の風景はややくすんでいるというか、
絵の具でいうと絶対白(グレー)を混ぜている〜みたいな感じなんだ、
ということを痛感しました。


全部原色、というわけではないのですが、濁りがない。そう、濁りがないんです。
世の中にこんなきれいな色をした場所があるんだ…と軽い衝撃を覚えました。
現像の技術もすごいのかもしれませんが、とにかく色がきれい…


「強さ」を感じるのは何でかなと写真をじっくり見ましたが
…黒じゃないかなあ。黒がびしっとしまっているんです。
本になっているものも見ましたが、印刷物になるとその要素がやや薄い感じです。


写真のほかに、アフガニスガンの帽子や、アマゾンの先住民族が作った
ワニとアリクイの椅子が展示されていました。
椅子はなかなか座りごごちがよかったです。
4歳くらいの女の子が、アリクイの椅子をめちゃくちゃ気にいって
一度場所を離れたのにまた戻ってきたりとかしてたのが
微笑ましかったです。


インタビュー等の雑誌の切り抜きも置いてあったのですが、
ゲッツ板谷との対談(たぶん「SPA!」)で、
紛争地帯の人(男)達というと、
どうしても「戦士」の部分ばかりイメージしてしまうけど
実際話してみると、日本ではどういうデートをするのだとか聞かれたりして
根は自分たちと変わらないというか、そういった「普通の人」の部分を
伝えたいということが書かれていて、なるほどなあと思いました。


自分がすごしている日常が世界のすべてではない。
…ってことは頭ではわかるんですけど、悩みや辛いことがあったりすると
そればっかりが心の中を占めるようになってきて、
他の人のこととかがどこかへ行ってしまいがちですが。


世の中には、こんなきれいな色のところで暮らしている人がいる…
なんか、すごいことだと思ったし、
それを伝える写真家という職業は素晴らしいと思いました。


今の日本ではひきこもりとか色々ありますけど…
学校→会社といった、せいぜい半径300kmくらいの日常しか
実感できなくなってしまっているのが原因かなあと
ふと、思いました。


本とか読んだりして、世の中には色々な日常を過ごしている人がいて、
自分の周囲の状況だけが全てじゃないという、
そのことを知っていると少しは違うのかなあなんて思いました。